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    中国通史で辿る名言・故事探訪(洪武帝の文字獄)

     「光天の下(もと) 天は聖人を生み、

      世の為に則をつくる」


                         明代

     》 洪武帝の文字獄 《

      明朝を創建した洪武帝(朱元璋)は、極貧放浪の乞食坊主の

     出自であった。

      その彼は皇帝となり天下に君臨するようになっても、虐げられた

     百姓の労苦を忘れることは無かった。

      そこで先ずは、戦乱で農地を失った流浪の農民を帰農させる政策

     を強く推し進めた。

      洪武帝は一面では、そのように民を労わるという優しさを秘めて

     いた。

      ところが、

      「明祖、学問未だ深からず。往々 文字の疑いを以って、

     人を誤殺すること亦すでに少なからず」、との評もあった。

      朱元璋は、その性は猜疑心が強く、学識と円満な仁徳は欠落して

     いたので、我が身の貧しかった頃の前半生に係る話題を極度に

     嫌悪していたという。

      当にその頃のことに触れれば、逆鱗に触れるというものであり、

     その訳も分からず無念の死を遂げた者は少なからずいたようで

     ある。

      皇帝の耳に、たとえ間違っても 「乞食」という言葉が入れば、即刻

     断罪された。

      若かりし頃、自分が放浪の乞食坊主であったからである。

      これなどは「舌禍」というべきだが、知識人の著述した文書

     書籍に表現された思想等に対する官憲による責任追及は、当に

     「文字獄」と云われて、知識人のみならず多くの人々に大いに

     恐れられたものである。

      洪武帝の時代は、国家による思想統制は一段と強化された。

     「光天の下 天は聖人を生み、世の為に則をつくる」

      ある時、杭州府学の師範から、如上の賀表が上奏された。

        ☞ 賀表とは、国家や朝廷に慶事がある時 祝意を表して

          奉る文。

      それは、洪武帝(朱元璋。廟号は太祖)の聖徳を褒め称える

     べくなされたものであった。

      ところが洪武帝は字を読むのが大の苦手であったので、侍従に

     代読させた。

      その代読により洪武帝は、次のように解釈した。

      「光天とは、僧侶になるために頭髪を剃ることである。

      生むとは、僧のことをいう。

      則とは、字の発音が賊に近し」、と。

      洪武帝の出自は乞食僧侶であった。また紅巾の賊に身を

     寄せていて、次第に頭角を表わしてきたという経緯もあった。

      そのような理由でもって、賀表の上奏者は即刻 斬罪に処せ

     られた。



      

      

      

       

      

    テーマ : 中国古典・名言
    ジャンル : 学問・文化・芸術

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    中国通史で辿る名言・故事探訪(燕賊簒位)

     「燕賊簒位」

      燕の賊徒 即ち明朝の燕王朱棣(しゅてい)が王朝を簒奪した

     との意。

      》方孝孺の死《   紀元1402年

       明初の儒者である方孝孺は、字を希直、号を正学という。

       洪武帝(朱元璋)に召されて朝廷に出仕し、建文帝(2代)の

      下では、翰林院侍講学士として国政の枢要に参画した。

       また正学先生として、朝廷の内外の人々の尊崇を受けていた

      ので、建文帝から帝位を奪った燕王朱棣 即ち永楽帝も方孝孺を

      引き続き出仕させようとした。

       だが方孝孺は、頑としてその招請に応じようとしなかった。

       その内 強引に朝廷に召し出されたが、燕王朱棣は諦めること

      なく、なおも説得を続けた。

       そして彼に命じた、

       「そう固いことは言わず、朕が即位する時の詔を起草せよ」と

      言って、方孝孺に筆と紙を手渡した。

       すると方孝孺は筆を揮い、その紙に文字を記し筆を投げつけた。

       その文字は、『燕賊簒位』と。

       さすがに朱棣もかっとなって、方孝孺は言うに及ばず、その家族から

      弟子や友人に至るまで、その数八百七十三人を死罪にしてしまった。

       方孝孺にしてみれば、儒者としての信念と節義が許さなかったので

      簒奪王の朱棣(永楽帝)に仕えようとしなかったのである。

       だが已むに已まれず、非難の心積もりで書いた「其の四文字」が、

      事後どれほどの悲惨極まりない結末をもたらすか、彼の考慮の中に

      寸毫もなかったのであろう。

       方孝孺にしてみれば、只 己の信ずるところに従っての行動であり、

      勅命を拒むことによって、儒者としての自己満足を得ようとでも思った

      のであろうか。

       だが事はその志に反して、思わざる大惨事を惹き起こすことと

      なったのである。

        
       ♪  方孝孺 「絶命詩」

         天 乱離を降す、孰れか其の由を知らん

           ☞ 乱離とは、国が乱れて人々が離散すること。

         奸臣 計を得て、国を謀り猶(はかりごと)を用う

         忠臣 憤りを発し、血涙 交々流る

         此れを以って君に殉ず、そもそも又何をか求めん

         嗚呼 悲しい哉、庶幾(ねがわ)くば吾が尤(とが)めざる

        にちかし
       

       

       
       

      

      

    テーマ : 中国古典・名言
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    中国通史で辿る名言・故事探訪(洪武帝の日本への威嚇)

     「乾坤浩蕩、一主の独権するところに非ず」

                        明代

      明の洪武帝は王朝も安定すると、日本の朝貢を促す国書を

     何度かもたらした。

      ところがそれらの国書は、何れも室町幕府や朝廷に上奏される

     ことはなかった。
     
      当時 外国からの国書の上奏は、まず九州を治める探題を通じて

     為される仕来たりがあったのである。

      時の探題は、後醍醐天皇の皇子で懐良(かねなが)親王であった。

      懐良親王は自らの手で、明の国書を握りつぶしていたのである。

      懐良親王が、洪武十四年(1381年)に洪武帝に送ったとされる

     文書の文言が明史に記録されている。

      ※ 洪武十四年は、日本では南北朝時代の後円融天皇(北朝)

       の永徳元年で、南朝では長慶天皇の弘和元年。

      「唯 中華のみ之主有りて、豈に夷荻には君無からんや。

      乾坤浩蕩(けんこんこうとう)、一首の独権するところに非ず」、

        ☞ 乾坤浩蕩とは、天下の広々としたさま。
     
      と日本の国家主権の存在を声高らかに宣言し、

      「侵攻して来るなら抗戦止む無し、徹底抗戦するだろう。

      しかし両国戦わば、天下に厄災をもたらすので、二人だけで勝負

     することを望まん」、という相手を愚弄する文言であった。

      その文面に接した洪武帝は激怒したが、結局 元の時代の

     フビライ干による日本遠征の失敗に鑑み断念した。




      
     

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    Author:tyouseimaru
    出身地は四国八十八か所参りの発心の阿波、大阪を終の棲家とする。
    歴史好きで、城郭・神社仏閣・歴史遺跡巡りが趣味となる。
    歴史小説や時代小説を好み、往年の著名な時代小説の類は概ね完読と、自負している。

    自薦
    自著「中国通史で辿る名言・故事探訪」の 上・中・下の3巻を、 近い内に「電子書籍」での出版を予定しています。 今年一年間は、さらに工夫を加えるなどして、補記訂正などの校正を第一義としています。       
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