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    中国通史で辿る名言・故事探訪(韓非子・ 十過)

     「小忠を行わせるは、則ち大忠の賊なり」


                        春秋時代

      部下の真心からの誠実な行為を大いに良しとして、無闇矢鱈に赦すと、

     それが時には自らの大いなる誠実を妨げる一因ともなることがある。

      春秋時代の楚の司馬・子反の側近である穀陽は、戦陣にあって

     主人の喉の渇きを見て、水ではなく酒を差し出したが、それは生来 

     酒好きな主を思っての誠実な行為であった。

      ところがその後 子反は共王の緊急の呼び出しにも心疾を理由として

     応じなかった。

      そこで共王は自ら出向いたが、彼の帷幄に入るや酒の匂いを嗅いだ

     のですぐさま本国に向けて帰還してしまった。

      曰く、
      
      「今日の戦い 不穀(貴人の自称)自ら傷つき、恃む所の者は司馬

     なり。

      而るに司馬 また酔うこと此の如し。これ楚国の社稷(国家)を忘れて

     吾が衆(人民)を恤(あわれ)まざるなり。

      不穀 復た戦うこと無からん」と。

      ここに於いて師(軍旅)を還して去り、司馬・子反を斬りて以って

     大戮と為す。

      故に豎穀陽の酒を勧むるは、以って子反に讎(あだ)せんとするに

     非ず。

      其の心 これに忠愛にして、而も適々(たまたま)以ってこれを殺す

     に足る。

      (=その心からの忠愛が反って子反を殺す羽目となり、結果的には

       子反の大きな誠実を妨げたことになった。)

      故に曰く、

      「小忠を行わせるは、則ち大忠の賊なり」と。

                      「韓非子  十過」


    テーマ : 中国古典・名言
    ジャンル : 学問・文化・芸術

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    tyouseimaru

    Author:tyouseimaru
    出身地は四国八十八か所参りの発心の阿波、大阪を終の棲家とする。
    歴史好きで、城郭・神社仏閣・歴史遺跡巡りが趣味となる。
    歴史小説や時代小説を好み、往年の著名な時代小説の類は概ね完読と、自負している。

    自薦
    自著「中国通史で辿る名言・故事探訪」の 上・中・下の3巻を、 近い内に「電子書籍」での出版を予定しています。 今年一年間は、さらに工夫を加えるなどして、補記訂正などの校正を第一義としています。       
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