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    中国通史で辿る名言・故事探訪(鄭の内乱)

     「衆恕は犯し難く、専欲は成り難し」

                        春秋時代

     大勢の人々から怒りを招くことになると、それに対抗することは難しく、

    又 自分ひとりの欲望を専らにしようとしても、成功は覚束ないもので

    ある。

     鄭の十五代・簡公二年(紀元前564年)冬、公族の連中が先代の釐公

    殺害の無念を晴らすため、宰相の子駟を襲撃するという陰謀が謀られた。

     だが陰謀を事前に察知した子駟は、先手を打って加担した諸公族を撲滅

    した。

     この族滅により、鄭国ではもはや公族で重職を得る者はいなくなった。

     朝廷における子駟の独裁色は一層強まったが、それから二年後 子駟に

    恨みを抱く五族と公族の残党が密かに結集して反乱を惹き起こした。

       ※ 五族:反子駟派の尉氏・司氏・堵氏・侯氏・子氏をいう。

          公族:子駟殺害計画を事前に察知され敗死した公子・子狐の

             子で、衛に亡命した孫撃と孫悪のこと。

     今度は彼らの密謀は漏れることなく、朝儀で朝廷に集まった所を急襲し、

    子駟と子産の父で司馬を務める子国らを殺害し、簡公を脅して人質にし、

    北宮に立て籠もった。

     この謀議には大臣の子孔(公子嘉)が加担してたと謂われるが、子孔

    は何らの手も打たなかった。

     事件を知った子産は素早く一族の兵を集めて、父が殺された西宮に

    向い、父の遺骸を収めてから、兵を北宮に進め、五族の反乱兵と戦闘

    を交えた。

     そこへ大夫の子蟜(公孫蠆《こうそんたい》)が国人層の兵を率いて

    応援に駆け付け、反乱軍を圧倒して簡公を救出した。

     反乱鎮圧後、大臣の子孔が宰相となったが、子蟜・子産の功績は

    誰の眼にも明らかで、人民の間で与に声望を高めた。

     子孔に次いで子蟜も執政に加わるようになり、対外政策は一貫して

    晋の盟約下に従った。

     子蟜の名は次第に高まり、それに反して宰相の子孔は、何ら為し得る

    ことは無かった。

     それどころか、子蟜の打ち立てた親晋路線を転換して、親楚路線を

    画策し、親晋派の大臣連中を一掃しようと企んだ。

     さらに子孔は、先の反乱の際の盟約書(載書)に基づき、旧体制下

    の位階の順序によって、官職に就くことを決めようと図った。

     子孔の措置に対して、大夫や諸司(役人)の多くは反対した。

     そこで子孔は彼らを粛清しようとしたので、再び内乱の様相を呈して

    きた。

     この危機に際して、子産は子孔に進言した。

     「先ずは多勢の怒りを収めるために、載書を焼却してしまうべきです」と。

     だが子孔は、

     「載書で以って国を定めようとするのだ。多勢が怒るからと言って焼く

    のでは、多勢が政治をするということになる。それでは国は治め難し」と

    言って、許そうとはしなかった。

     子産は猶も言う、

     「多勢の怒りは逆らいにくく、一人の専断は成功しにくい。

     この二つのし難いやり方で国を治めるのは、危険な事です。

     載書を焼いて多勢を落ち着かせる方がよろしい。さすれば、子は

    求めることが得られるし、多勢も安定します。

     衆恕は犯し難く、専欲はなり難し。


     多勢に逆らえば災禍を招きますし、一人の専断では事は成功しま

    せん。反対する者たちを宥(なだ)めるべきです」と。

     かくして子孔は、子産の意見に従って載書を焼いたので事なきを

    得たのである。

       ☆ 載書とは、本来は諸侯が会盟で盟約を結んで、その取り決め

         事項を記した文書をいった。


                       「春秋左氏伝 襄公十年」



      

    テーマ : 中国古典・名言
    ジャンル : 学問・文化・芸術

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    Author:tyouseimaru
    出身地は四国八十八か所参りの発心の阿波、大阪を終の棲家とする。
    歴史好きで、城郭・神社仏閣・歴史遺跡巡りが趣味となる。
    歴史小説や時代小説を好み、往年の著名な時代小説の類は概ね完読と、自負している。

    自薦
    自著「中国通史で辿る名言・故事探訪」の 上・中・下の3巻を、 近い内に「電子書籍」での出版を予定しています。 今年一年間は、さらに工夫を加えるなどして、補記訂正などの校正を第一義としています。       
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