FC2ブログ
    コンテントヘッダー

    中国通史で辿る名言・故事探訪(晋・文公の復讐戦)

     「鄭君を得て甘心せん」

                       東周王朝

      晋の文公七年(紀元前630年)の九月甲午(一日)、文公は晋の

     穆公と連合して鄭を包囲攻撃した。

      討伐の理由としては、かつて亡命の途中に立ち寄った鄭国で、

     文公(重耳)を冷遇したことと城濮の戦いで楚に味方したことが挙げ

     られた。

      鄭の都を包囲した文公は、鄭の大夫・叔瞻(しゅくせん)の身柄を

     要求した。

      叔瞻は重耳主従が流浪中、鄭都に立ち寄った時に、主たる鄭君に

     重耳を礼遇しないのであれば、後顧の憂いをなくするために重耳を亡き

     者にせよと、進言したことがあった。

      叔瞻は要求の経緯を耳にするや、自ら命を断った。

      鄭ではその屍を晋の陣営に届けて赦しを請うたが、晋では素気無く

     突っぱねた。

      曰く、「必ずや鄭君を得て甘心せん」と。

      (=きっと鄭君を捕虜となし、この忌々しい我が思いが晴れるまで

       思う存分にしようぞ。)

      一方では鄭の文公(鄭伯)は怖れをなして、燭之武(しょくしぶ)という

     老臣を密かに秦の陣営に派遣して、好条件を手土産に説得させた。

      燭之武曰く、

      「鄭を滅ぼして晋に篤くするは、晋においては得なれども秦は未だ利

     となさず。

      君 なんぞ鄭を解き、東道の交となすを得ざる」と。

      (=鄭を滅ぼさずに、秦が東方へ行く際の接待役とさせた方が秦に

       とっては得策ですぞ。)

       ※ 晋・鄭・秦の地理的状況は、秦が西方に晋は東方にあり、

         鄭はその中間にあった。

        「東道の交」

          「東道主人」ともいう。

          客を案内してもてなす主人のこと。

       晋の穆公は悦んで鄭と盟約を結び、大夫の杞子、逢孫、揚孫の

      三人を留めて鄭を守らせ、自らは軍を率いて本国に引き揚げた。

       晋の子犯は、憤り晋軍を追撃すべきことを進言したが、文公はそれ

      を推し止めて、

       「秦君の援けなかりせば、今の我は無し。

       人から力を借りてその人を損なっては、不仁というもの。

       良い味方をむざむざ無くすのは、愚人の為すこと。

       せっかく収まった秦・鄭の仲をまた乱すのは武の道に非ず」と。

       かくして、文公も已む無く撤兵した。

                       「春秋左氏伝 僖公三十年」


        にほんブログ村 哲学・思想ブログ 名言・格言へ
    にほんブログ村


      
    スポンサーサイト

    テーマ : 中国古典・名言
    ジャンル : 学問・文化・芸術

    コンテントヘッダー

    コメントの投稿

    非公開コメント

    プロフィール
    プロフィール

     河野長生   tyouseimaru

    Author: 河野長生 tyouseimaru
    出身地は四国八十八か所参りの発心の阿波、大阪を終の棲家とする。
    歴史好きで、城郭・神社仏閣・歴史遺跡巡りが趣味となる。
    歴史小説や時代小説を好み、往年の著名な時代小説の類は概ね完読と、自負している。

    自薦
    自著「中国通史で辿る名言・故事探訪」の 上・中・下の3巻を、 近い内に「電子書籍」での出版を予定しています。 今年一年間は、さらに工夫を加えるなどして、補記訂正などの校正を第一義としています。       
    最新記事
    月別アーカイブ
    最新コメント
    最新トラックバック
    カテゴリ
    天気予報

    -天気予報コム- -FC2-
    おきてがみ
    おきてがみ
    twitter
    このブログの訪問者
    BLOG RANKING
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    Powered By FC2ブログ

    今すぐブログを作ろう!

    Powered By FC2ブログ

    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR
    メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    <
      /body>