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    中国通史で辿る名言・故事探訪(斉の杞梁と華舟)

     「生きては忠義を尽くし、死しては名声を立てる」


                        春秋時代

     斉の荘公(25代)は、莒(きょ)を討伐する意向を明らかにし、討伐に

    際して、五台の車に勇士を抜擢して載せることに決っした。


       ※ 斉の荘公の在位期間 : 紀元前553年~548年
      
     ところが、この選抜に普段から勇を以って満を持す大夫の杞梁と華舟が

    いたが、選抜に漏れてしまった。

     二人は意気消沈して、それぞれ家に帰ったものの食事も一切摂ろう

    とはしなかった。

     そのあり様を見て母は言った、

     「お前は生きている内に忠義を尽くすことも無く、死んでからも名声を

    遺すことも無ければ、選に漏れたとしても誰もお前を笑ったりはしない

    だろう。

     だが生きている内に忠義を尽くし、死んでから名声を立てるようなこと

    になれば、五台の車の勇士たちもすべてお前より劣っていることになる

    のだよ」、と励ました。

     それから母は、急いで食事をさせ息子を戦いに追い遣った。

     季梁と華舟は同じ車に乗って、それぞれの臣下を率いて荘公に付き

    従った。

     やがて莒に至ると、敵軍は防戦に努めたが、二人は車を降りて戦い、

    敵兵を三百も討ち取った。

     荘公はいたく感心して、

     「もう其の位で止めるがよい。褒美として封土を与えよう」と慰労した。

     二人は君に対えて、

     「我々は五台の車の勇士の選に漏れました。

     これは我々の勇気が軽んじられたからです。

     我々は今 敵を相手にして障害を乗り越えました。

     この時に利益を与えるからと言って、戦いを止めさせるのは、我々の

    行動を汚すものでしかありません。

     どこまでも突進して、多くの敵を殺すのが臣下の務めです。

     封土を分けてもらうなど、我々の念頭にありません」と言って、猶も敵陣

    に突き進んで陣列を崩して混乱させた。

     そして遂に城下に至ると、この二人の勇猛ぶりに今度は莒の側から、

     「みすみす死ぬことはあるまい。お前たちに莒の国土を分けてやろう

    ではないか」
    と、持ちかけてきた。

     だが二人は、改めて己の信念を開陳した。

     「自分の国に背いて敵側に帰順するのは、忠臣に非ず。

     自分の主君を棄てて、贈り物を受けるのは立派な行為とは言えません。

     しかも夜明け前に約束したばかりなのに、真昼になって其れを忘れる

    ようでは信頼を裏切ることになります。

     何処までも突進して、多くの敵を殺すのが臣下たる者の務めです。

     莒の封土を分けてもらうなどという事は、我々の念頭にはありません」

    と言って、更に勇んで突き進み、敵兵を二十七人道ずれにして壮烈な死を

    遂げた。

     戦端が終わった後、彼等の二人の妻は城壁の側で、夫の末期の言葉

    を耳にして号泣して大いに悲しみに暮れた。

     傍目にもその泣き声が余りにも悲痛だったので、城壁が壊れてその

    一隅が崩れ落ちる程であったという。

      この戦死した季梁と華舟の妻が哭いて悲しみ、城壁を崩したという

      故事はその後 永く語り継がれて、後に万里の長城秘話と言われる

      「孟羌女伝説」を生み出すきっかけとなる。


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    テーマ : 戦記
    ジャンル : 学問・文化・芸術

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     河野長生   tyouseimaru

    Author: 河野長生 tyouseimaru
    出身地は四国八十八か所参りの発心の阿波、大阪を終の棲家とする。
    歴史好きで、城郭・神社仏閣・歴史遺跡巡りが趣味となる。
    歴史小説や時代小説を好み、往年の著名な時代小説の類は概ね完読と、自負している。

    自薦
    自著「中国通史で辿る名言・故事探訪」の 上・中・下の3巻を、 近い内に「電子書籍」での出版を予定しています。 今年一年間は、さらに工夫を加えるなどして、補記訂正などの校正を第一義としています。       
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