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    中国通史で辿る名言・故事探訪(列子)

     「遁人と順民」


                       戦国時代

      遁人とは逃げ腰の人をいい、順民とは従順な人をいう。
     
      楊朱曰く、

      我ら国の民があくせくして休息することが出来ないのは、次の四事

     のためである。

      一は寿のため、二は名のため、三は位のため、四は貨のためである。

      寿は長生きしたいと思うから、名は名声を得たいと願うから、位は高い

     社会的地位を得たいと思うから、貨は財貨を求めるからである。

      この四事を望む者は、己が死ぬことと他人を畏れ、権威と刑罰を畏れ、

     常に外物に制せられている。

      このような人を遁人… 逃げ腰の人という。

      このようは人の運命は、すべて他人の手に握られていると謂える。

      之に反して、人がその置かれた天与の運命に逆らわねば、他人の長生き

     を羨ましがることもない。

      身分の高位を誇らねば、他人の名誉を羨ましがるといったことも無い。

      権勢を望まねば、他人の位を羨ましがることも無い。

      財産を貪らねば、他人の富める財を羨ましがることも無い。

      このような人を順民…素直な人という。

      このような人は、世の中に逆らうものはなく、運命は自分の中にある

     といえる。

      だから古の言葉に、

         「人は婚宦せざればその欲情 半減し、

          衣食せざれば、君臣の道 息む」,と。

        (=人は結婚したり仕官することをしなかったならば、その諸々の

         情欲は半ば減り、着たり食べたりする生活に追われなければ、君と

         家臣といった関係もなくなる。)

      周の諺に言う、

      “ 田父野郎(田舎の老人)は、座らせておけば殺せる ”、と。

      田父は朝 早くから家を出て、田で仕事をして夜になると帰ってくる、

     という生活の習慣を持つが、それは生来のものであり、また粗食に

     甘んじて、それでいてそれが最高のものと考えている。

      彼の体は節くれだっているので、柔らかい毛氈を敷き、所謂 贅沢な

     ご馳走を食させると、反って心は憂鬱になり体は疲れ心は落ち着かず、

     しまいには体に熱を持つようになり、遂には病気になってしまうだろう。

      その反対に、宋や魯の君に田父と同じ田地を持たせて、農家の仕事を

     させれば、これも三月ともたぬ内に へばってしまうだろう。

      つまり田父にしてみれば、己自身が安楽と思う所、美味しいと思うもの

     をこの世における最高のものと考えているわけである。


                     「列子 楊朱篇」

     

    テーマ : 中国古典・名言
    ジャンル : 学問・文化・芸術

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     河野長生   tyouseimaru

    Author: 河野長生 tyouseimaru
    出身地は四国八十八か所参りの発心の阿波、大阪を終の住処とする。
    歴史好きで、城郭・神社仏閣・歴史遺跡巡りが趣味となる。

    令和元年5月25日、マイブログがアマゾン kindle版として
    その題名も「心に響く中国歴史名」として出版されました。

    自薦
    自著「中国通史で辿る名言・故事探訪」は、上・中・下の3巻あり、 余りにも大部な書となってしまった。 そこで内容を圧縮して「ブログ」として、活路を見出した。 それで、かなり減量したものとなった。 今後はさらに読みやすいブログを目指して、工夫を加えるなどして、 補記訂正してゆきたいと思っています。       
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