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    中国通史で辿る名言・故事探訪(死して厲鬼となり賊を殺すべし)

     「死して厲鬼(れいき)となり賊を殺すべし」

                        唐代

      賊軍に包囲され、籠城して決死の戦いをする唐の守将・張巡の心意気。

     》 睢陽(すいよう)の戦い 《

      唐の安史の乱で、最も壮烈な攻防戦を展開したのは睢陽城での攻防

     である。

      唐の経済的基盤は、江南地方にあった。

      その要衝である雍糺を守備していたのは張巡である。 

      張巡は情勢の変化で寧陵に移り、しばしば安禄山の率いる賊軍を

     破ったが、その後 更に睢陽城に立って籠もっていた許遠と共に守りを

     固めた。

      そして頑強に抵抗して奮戦すれども、王朝軍の救援は無く、日ごとに

     兵糧も底を衝くようになった。

      その内 戦線離脱を訴える者も出始めたが、張巡と許遠は、互いに

     腹を括って話し合った。

      彼らの引き出した結論は、

      「この睢陽城こそは、長江、淮水(わいすい)一帯を防衛する要

     である。

      今この城を放棄すれば、もはや敵の進撃を阻止する戦略は成り立た

     ない。

      我々の取るべき道は、唯々援軍の到来まで城を死守するしかない」と。

      結論が出た後、張巡は将士を集めて、言った。

      「我は国恩を受けた者。守る者は、ただ正しく死ぬことだけが務めだ。

     しかし諸君は、身命を捨てて嚝野に散っても、それに報いる何の褒賞

     も与えられない。

      それを思うと、この胸が痛む」と。

      将士は皆 感激して、奮戦を誓った。

      張巡は、牛を殺して将士に大いに振る舞い、遂に出撃した。

      将士の覚悟が決まったので、張巡は敵の意表を衝くような様々な戦略を

     駆使して、包囲する敵の大軍を翻弄して、大いに手こずらせた。

      その後 将兵は、兵糧が尽きたので、軍馬を、それも無くなると雀や鼠

     を食べて飢えを凌いだ。

      かくして四万を数えた籠城兵は四百にまで激減したが、投降兵や

     脱走兵は一人も出なかった。

      兵糧に窮した張巡は、終にその愛妾を殺して兵士に食わせることまで

     した。

      やがて賊軍は城壁を登って、一斉攻撃をかけてきた。

      だが籠城の将兵は、極度の衰弱に喘いでいたので、戦闘能力は失って

     いた。

      張巡は都に向かって遥拝し、

      「臣 力尽きたり。生きては既に以って陛下に報ずる無し。

      死して当に厲(れい。=幽)鬼となり、以って賊を殺すべし」

     と言って、精根尽き果ててしまった。

      かくしておよそ二年間に及ぶ壮絶な死闘の後、張巡、許遠は捕えられ、

     他の三十六人ともども皆殺しにされた。

                         「十八史略 唐」

       

      
     ☷ 拾遺・弥縫

       安史の乱の戦乱終結後の軍功評価で、張巡の功績は朝廷を救った

      「救国の士」と評価されるようになったが、そこに至るまでには色々な

      議論があった。

       即ち、籠城中の人肉の問題が取り上げられ、当初はその評価を否定

      する意見が強かった。

       だが最終的には、援軍も含めて兵糧を送らなかった責任は、朝廷に

      在ったとして、一転して 表彰されることになった。

       大唐帝国が玄宗皇帝の失政により、当に亡国の危機に陥ったが、

      何とか持ちこたえることが出来るようになった大きな原因は、帝国の

      経済基盤となる江南の地が守られたからだと謂われる。

    テーマ : 中国古典・名言
    ジャンル : 学問・文化・芸術

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     河野長生   tyouseimaru

    Author: 河野長生 tyouseimaru
    出身地は四国八十八か所参りの発心の阿波、大阪を終の住処とする。
    歴史好きで、城郭・神社仏閣・歴史遺跡巡りが趣味となる。

    令和元年5月25日、マイブログがアマゾン kindle版として
    その題名も「心に響く中国歴史名」として出版されました。

    自薦
    自著「中国通史で辿る名言・故事探訪」は、上・中・下の3巻あり、 余りにも大部な書となってしまった。 そこで内容を圧縮して「ブログ」として、活路を見出した。 それで、かなり減量したものとなった。 今後はさらに読みやすいブログを目指して、工夫を加えるなどして、 補記訂正してゆきたいと思っています。       
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